このブログでは、いつも書いていることになりますが、システム検討をしているお客さんと話をしているとどうしても、何をしたいかではなく何を導入したいという話を聞くことがしばしばあります。
例えば、AWSを使いたいとか、Azureを使いたいとか、AIを導入したいとか、DXをしたいとかといった話になりやすいということです。
お客さんからみた当社のイメージがもしかしたら、要件を相談できるような会社ではないということなのかもしれませんが、こういったITソリューションありきで話がくるケースの特徴として、お客さん内で何がやりたいかのイメージが固まっていないことが多いです。
そのため、特定のITソリューションを導入したいという話を伺った当社としては何がやりたくて、そのITサービスを導入したいという話に至ったのかを伺うことになります。
そうすると、お客さん内で何がやりたいかのイメージが固まっていないことがわかりますので、次に何に困っているのかという話を伺うことになるのです。
AWSやAzureの話でよくあるパターンは、自社で構築していたサーバをクラウド移行してシステム運用費用を下げたいというニーズ。
AIの場合は、最近ではDXをしたいと一緒に話を伺うケースが多いですかね。
DXについては、以前にも何回か記事にしていますが、DXとAIを同列に考える必要はありません。
DXを実現する技術的要素としてAIも考えられますが、AIを使わずともDXは実現できます。
お客さんはもっと自社の課題事項に目線を向けて、どうすれば自社の生産性向上や売上向上が図れるのかを検討し、その方法の一つとしてITを活用するという発想にならないかなと常日頃から考えています。
そういった話をするのも仕事だとも思っています。
ITを利用すると、人の手で処理するよりも多くのデータを短時間で処理することが可能になりました。
このITの特徴を自社の課題に、適用できるかどうかの相談先としてIT会社を活用してほしいです。
要は、自社の課題検討は自社でしっかりとしていただき、その課題を解決する案をIT会社に求めるだけで良いのです。
まぁ、自社の課題がよくわからないという場合には、コンサルタントに相談してみるという方法もあるでしょうが、自社の課題を把握できていないのであれば、コンサルタントも困るとは思います。
自社の業務課題を検討できてIT会社に相談すると、IT会社はお客さんの業務課題をシステムに落とし込むために、改善したい業務の流れ、業務頻度、業務の関係者、関係システムなど様々な質問をすることになります。
システム開発になれていないお客さんは、このIT会社の質問対応に疲れてしまうことをしばしば見てきました。
ただ、自社の業務マニュアル等がしっかりと準備されていないとどうしてもIT会社は業務の現状を理解するためにお客さんを質問攻めにしてしまうことがあります。この対応はシステム検討を機会にIT会社に業務の整理を頼んでいると考えていただけると良いでしょう。
自社の業務を設計書等のドキュメントに書かれると、これまで見えていなかった業務の非効率性がみえてくる可能性もあります。
経験豊富なシステム開発者からは、そういった非効率な部分の指摘がある可能性もありますし、単純にシステム開発者からの質問に答えているだけで、自社の業務の非効率な点に気づくこともあります。
このようにユーザとシステム開発者が一緒にシステム開発について検討することでしか、良いシステムは開発できません。
スマートフォンの普及やSaaS型のクラウドサービスの普及により、ユーザとシステム開発者が一緒にシステム開発をしなくとも使いやすいシステムがあるように思うかもしれません。
しかし、スマートフォンのアプリやSaaS型のクラウドサービスは、システム会社がユーザ目線でシステム開発をしているから使いやすいアプリやシステムになっているのです。
なお、これらのアプリやシステムが本当に自社の業務目線で見た時に果たして使いやすいかどうかはわかりません。
多くのユーザにとって使いやすいシステムは何かを考えて開発されている良いサービスは多くの利用者がおりますので、そういったサービスに自社の業務を合わせるというのも一つの考え方です。
そして、多くの場合は素のまま出来合いのサービス(パッケージ)を利用する方が自社業務に合わせてカスタマイズするよりも、上手くいきますし安価に利用できます。
ユーザー企業はどのようなシステムを利用するかではなく、システムそれぞれの特徴を理解した上で、自社の業務課題を解決するためにはシステムを導入すべきかどうかから一緒に考えてくれるシステムパートナーを持てるようになると良いと考えます。
本当はそのシステムパートナーが自社のシステム部だと良いのですが、多くのケースにおいてはユーザー部門とシステム部門は仲が悪いことがあり、不思議なことだなと思っております。