組織で仕事をしているとしばしば立ち会うことになるのが同じような失敗を色々な人がするという事象。
失敗事例の事象、原因、対策を整理してドキュメントとして作成し、部内の会議などで説明、共有しますが、実際に失敗を経験していない担当者は同じ失敗を起こすことがあります。
この事から失敗事例を共有したところで当事者にならないと当事者以外は結局実感しないということがわかりました。
何となく気づいていたことですが、自分のこととして失敗を捉えましょうと説明したところで人の想像力には限界があるということです。
いや、自分のこととして捉えるということが無理ということだろうか。
しょせんは他人のこととして失敗事例を聞いているということだろうか。
いずれにしても、失敗事例を共有しても当事者以外は割と同じ失敗をすることがあるということです。
実際には失敗した当事者も同じ失敗を繰り返すこともあるため、当事者以外の担当者が失敗事例を共有されていたとしても同じ失敗をすることはしょうがないとも考えられます。
では、失敗事例を共有することは無駄なことなのかというと無駄ではないと考えています。
他人の失敗であっても失敗事例から学ぶことは多いにあります。本来であれば失敗したら失敗がおきない仕組みを作ってしまえば当事者以外であっても同じ失敗をすることはなくなるでしょうが、同じ失敗が起きるというのは仕組みが不十分であることを教えてくれています。
失敗事例を作成することを目的にするのではなく、失敗が発生しない仕組みを検討することを目的にしないと同じ失敗を防ぐことはできないのです。
失敗した当事者は同じ失敗を頻繁に繰り返すということが、失敗を経験するとなくなります。稀に学習能力が備わっていない担当者もおりますが、そうでなければ失敗を経験した当事者は同じ失敗を繰り返さないように自ら何が悪かったのかを考えて、対策をするようになります。
業務における失敗の学習効果は非常に高いと考えます。
ただ、この効果は失敗を経験した当事者には高く作用しますが当事者以外にはそれほど高い効果がみられないというのが残念なことではあります。
やはり経験に勝る学習はないということですが、組織としての学習効果を高める工夫をしていく必要はあるなと考えます。
他人がした失敗を自分のこととして捉えるには、失敗事例を具体的に共有するのが良いのではないかと考えています。
例えば、建設現場における危険感受性向上教育としてVRを活用している事例があります。
従来の机上学習では具体性が欠けており、学習効果が高まらなかったところをVRにより労災事故を疑似体験することにより学習効果を高めることに成功しているようです。
VRを上手く活用することにより、他人の体験を自身の体験に置き換えることに成功しており、自分のこととして捉えやすくなるVR学習の効果は高いと考えられます。
既に答えを書いていますが、何事においても自分のこととして捉えるということが学習効果を高めるための工夫です。
失敗事例においても、単に報告書を共有する今のやり方は自分のこととして捉えるには不十分だということは当事者以外が失敗をおかすことからわかります。
失敗が発生する仕組みを改善できないのであれば、自分のこととして考えられる失敗事例の共有コンテンツを作成することは、失敗した当事者以外が失敗をおかさないようにする上で効果があると考えます。
コンテンツ作成には当然作成コストがかかりますので、発生した失敗の内容と失敗に対する対応コストを考えた上でどのような対策コンテンツを作成するかを判断すれば良いでしょう。もちろんまず考えるべきは失敗が発生しない仕組みの改善です。
とおり一辺倒の失敗対策コンテンツを作っていては組織としての能力向上にはならないということを同じ失敗が色々な担当者で発生するたびに教えられます。そのたびにまだまだ成長できると感じるのです。