Workers Wind

主に私の仕事に関する考え方と自分の知識・スキルを習得するために読んだ本、調べたこと、実施した結果などについて記載しているブログです。

別にシステム要員を減らせないのはSIerが悪いだけではない

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日本のIT企業に勤めている立場から、本日(2月14日)の日経の記事で思うところがあったので、久しぶりに記事を書きます。

www.nikkei.com

本記事では、日本型ITを担ってきたSIerの既得権益が少なからず影響して、日本のITの生産性が上がっていないというようなことが書いてあるように読み取れます。

 

完全にSIerを悪者にしているわけでもないので、なんとなくフワッとした感じで、賛否両論あるように感じられる記事だなとまず感じました。

 

一方で、SI営業としての私の考えは、日本企業は相変わらず独自仕様をこよなく愛しているし、多くの日本企業の経営者はITに対する理解を深めようとせずにCIO・CTOとかに体よく責任を押し付けているのでこの状況はすぐには変わらないだろうなということです。

 

要は、まだまだ日本の経営者はITを理解しようしていないし、システム開発・運用をSIerに丸投げしてくれるから、SIerのビジネスが成り立つな感じたということです。

 

私としては自分はSI企業に勤めていますが、以前からこの状況顧客企業にとっては健全なシステム開発にはならないなと考えておりました。

 

本来であれば、自社でしっかりシステム要員を抱えて、自社のビジネスにあったシステムを内製化していくのが顧客企業にとっては良いシステム開発ができると考えています。

多くの日本企業が自社主導でシステム開発ができるようになると早晩SI企業は単なる技術者派遣企業になることでしょう。

私としては、それでも良いと考えています。

気をつけなければいけないのは、自社でシステム要員を抱えたとしても十分な数の優秀な技術者がいないと自社のシステム戦略を策定して、自社要員でシステム開発を推進できないということです。

十分な数の技術者がいなければ、結局、外部のSI企業の派遣要員にシステム開発・運用を丸投げすることになるので、外部企業にシステムの首根っこをつかまれることになります。

 

ところで、もはや一定以上の企業にとってはシステムがない経営は考えられない状況になっています。

そのような状況になっているにも関わらず自社に十分なシステム要員がいないというのは、一言で言えば経営者の怠慢です。

自社のシステム化戦略および開発・運用は内製化できるようにした方が、自社のシステムを自分事として捉えることができ、本当に必要なシステムが何でそのシステム価値を正しく判断することができるのです。

そうすれば、無駄にSI企業に提案内容の金額の妥当性を聞いたり、相見積もりをとって各々の企業の提案内容の違いを吟味する労力をさく必要もなくなるのです。

SI企業もITを理解していない経営者に対して、無駄な費用説明をしなくとも済むのです。(これは仕事なので説明はしますが・・・)

 

ただ、そうは言っても多くの日本企業は外部のSIerにシステム化戦略等を丸投げしてきたため、すぐにシステムの内製化に舵取りができずに形だけのDX組織を乱立することになっています。

 

SIerもビジネスなので、お客さま第一と言いつつも自社利益に走るのは当然のことです。

自社グループ内に自社のシステム開発を任せられるSI企業がいれば、まだ自分事としたシステム開発ができるかもしれません。しかし、優秀な人材は限られているのと、かつて外部のSI企業が開発し、ブラックボックス化しているシステムを運用しているとすると今更内製化とか言われても容易にはできないでしょう。

 

日本の一定以上の規模の企業で、自社のシステムがブラックボックス化してしまっているのであれば、どこかで、過去のシステムに見切りをつけて、新たに優秀な技術者を自社で抱えて、システムの内製化に舵取りしても良いと考えています。

それは、重要な意思決定になりますが、今後システムありきの経営をしていくのであれば、どこかで決断しなければならない時がくるでしょう。

優秀なSI企業を丸ごと買収するという考え方があっても良いかもしれません。

まぁ、優秀なSI企業といえども、技術者の質は玉石混淆ではありますけどね。

 

新たに立ち上がっている日本企業はシステムありきで、考えられていて、自社に技術者を抱えているケースが見られます。

古い体質の企業はこれらの新興企業の組織運営を見習うべきですし、そうすることでSI業界の技術者の流動化が進むでしょう。

それは日本のSI業界の再編が進むことを意味します。

私は多くの日本企業がITを駆使した経営をすることが日本の産業発展に大いに寄与することだと考えています。私としてはもっとユーザー企業の経営者に技術者を自社組織に取り込んでもらい、価値あるシステム開発・運用の投資をしてもらいたいと考えています。

SI企業の営業の考え方としては異端かもしれませんが、お客さんに価値あるITシステムとは何かを忘れずに提案したいとは常に考えている私の本音になります。

 

ただ、この考え方はSI企業側からは出てこないです。

冒頭の記事について最後に述べるとすれば、必要なのはユーザー企業の経営者のITに対する積極的取り組み姿勢なのです。

 

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