当ブログの不定期連載「SI営業への道」第2回目は、「サーバーとクライアントの違い」について説明します。
なお、第一回目は以下の記事を参照してください。
ハードウェアの種類で考えるな
サーバーとクライアントの違いを考える際に、ハードウェアの種類で考えてはいけません。
サーバー機器と通常クライアント機器として考えられるパーソナルコンピューター(PC)ですが、どちらの機器もサーバー用途にもクライアント用途にも利用できます。
サーバー機器と呼ばれるハードウェアはデータセンターに設置しやすいような形状をしていたり、機器に配備されたLEDライトから機器の外観でハードウェアの異常を検知しやすくしていたりといったようにシステム運用に適したハードウェアレベルの工夫が組み込まれています。
しかし、このハードウェアの違いがサーバーとクライアントを区別しているわけではないのです。
ソフトウェアの用途で考える
では、どのような観点でサーバーとクライアントを区別するかといえば、ソフトウェアの役割で区別します。
サーバーとは、サービスを提供するという意味で、クライアントはサービスを受けるという意味になります。
つまりサーバーはクライアントに対して、何か特定のサービスを提供しているものになります。
代表的なサーバーを以下に記載します。(ここでは各サーバーの役割は説明しません。)
- ファイルサーバー
- プリントサーバー
- Webサーバー
- データベースサーバー
- メールサーバー
- プロキシサーバー
実に様々なサーバーが企業システム内には存在しています。
このサーバーとクライアントの関係は、一つのハードウェアの中でも実現することができるので、考えを複雑にしているように思います。
サーバーとクライアントの考えを正しく理解していないとハードの話をしているのかソフトの話をしているのかがわからなくなる場合がありますので、物理構成図や論理構成図をみて企業システム内のサーバーとクライアントの関係を明確にしておくべきでしょう。
代表的なサーバーの役割を理解しよう
システムの提案をする際には、提案先の企業がどのような業務を行っているかを理解しておく必要があることは第1回でも説明しました。
一方で、新規に起業した企業でもなければ既に企業システムがいくつも稼働していることでしょう。
このような状況においては、どのようなシステム(サーバー)が既に提案先企業に導入されているかを把握することが大事です。
各々のシステムの稼働状況においては、改善提案につなげることができる可能性があります。
また、業務を実施する上で必要となるサーバーが足りないことがわかれば、新規にサーバー導入の提案をすることもできます。
ただし、ここで気をつけなければいけないのはサーバーとクライアントの話はITに詳しくないお客様には理解できないことが多いということです。
お客様はあくまで業務上の課題解決を求めているため、例えば情報共有を円滑にしたいというお客様の要望に対して、「ナレッジマネジメントサーバーを導入しましょう。」のような提案をしても理解されないでしょう。
SI営業としての自分はどのようなサーバーが必要かを考えた方が考えをまとめやすいでしょうし、協力してもらうSEにも理解してもらいやすいでしょうが、お客様側にはお客様の業務課題に対して、当該サーバーを導入することによる効果や導入にかかる負荷についてわかり易く説明することが必要です。サーバーの名称は場合によってはお客様には話をわかりづらくするため、お客様のIT知識を見極めた上で使いましょう。
まとめ
サーバーとクライアントの違いについては、ハードウェアの違いと理解している営業担当者が割と多いように感じたので、本記事を書きました。
確かにサーバー、クライアントについて各々の機器の特徴はありますが、重要なことはハードウェアの違いではなくソフトウェアの役割の違いにあります。
サービスを提供する側がサーバーで、サービスを受ける側がクライアントとなります。
名前の通りなので、考え方を覚えれば難しいことはないでしょう。
ただ、ソフトウェアは目にみえないため、どうしても目にみえるハードウェアに着目してしまうということが多いのです。
一般にクライアント機器よりもサーバー機器の方が高価になります。
お客様のニーズが高価なサーバー機器を必要としていない場合にはクライアント機器を使ってサーバーを構築しても問題はないのです。(当然、運用についても検討する必要はあります。)
SI営業として心掛けたいことは、お客様の業務課題を限られた予算、時間の中でどのように解決するかの最善手を考えることにあります。
もちろん当該業務課題を解決するには、あまりにも少ない予算や時間であった場合には、解決案を実行できないこともあります。
このような場合にはお客様と調整して予算や時間の確保をする必要もあります。
このような調整を行う上でも、必要なサーバーやクライアントについてしっかりと定義できるような知識が必要になりますので、しっかりと学習しましょう。