Workers Wind

主に私の仕事に関する考え方と自分の知識・スキルを習得するために読んだ本、調べたこと、実施した結果などについて記載しているブログです。

SI営業への道 Part1 OSI参照モデルと業務理解

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私が勤めている会社はSIerと言われており、顧客企業に対しての業務システムの開発・導入を主な業務としております。
そして、私は営業として顧客企業の業務課題を解決するための業務システムの提案をする役割を担っています。
というように仕事の内容を書いてはみたものの私が働く業界の仕事を同じ業界にいない人に説明するのは難しいことだと思っています。


そもそもシステムとは何かということを理解することが難しいのです。

 

システムとはコンピューターというわけでもないのですが、システムを動かすためにコンピューターを販売することもあります。

このようによくわからないものを販売するのは、非常に難しいことではありますが、難しいことだけにその分やりがいもあります。


そんなわけで、SI営業をするために、身につけておいた方が良い知識や経験について、今後、思いついたところで気ままに書いていこうと思います。

第1回の今回は、OSI(Open System Interconnection)参照モデルと業務理解について説明します。

OSI参照モデルで技術的な要素を抑える

まず以下の図をみてください。

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OSI参照モデルと業務レイヤー

縦軸が技術レイヤーの話で、OSI参照モデルとこれに対応するTCP/IPの階層モデルです。
Web系のシステムしか取り扱わないということであれば、TCP/IPの階層モデルのみを覚えておくということでも良いのですが、基本はOSI参照モデルになりますので、特にどのようなシステムを取り扱うかが決まっていなければOSI参照モデルを覚えましょう。


OSI参照モデルとはISO(国際標準化機構)が決めた異なるベンダ感で相互通信するための「ネットワーク・モデル」と言われる統一規格のことです。
コンピューターシステムを動かすための各階層の役割を定めているため、私はシステム提案をする際にはこの階層に抜け漏れがないか、各階層の機能が要件を満たしているかを考えるためのよりどころにしています。
要はシステム提案をする際の技術フレームと私は捉えています。
また、システムに障害が発生した際には、一番下の物理層から原因調査をしていくと早く解決できることが多いです。

 

システムを考えるときに、上物のアプリケーション(業務部分)だけに注目してしまうと顧客要件に合うパフォーマンスを出すことができないのは、システムはアプリケーション層だけで稼働するわけではないからです。
これはシステム開発にとっては基本的なことですが、技術者の得意分野も各技術レイヤーに偏っていることが多いため、開発体制を組むときには技術者の得意分野もOSI参照モデルに照らし合わせて必要十分なスキルがあるかを確認すると良い体制が組めるでしょう。

 

アプリケーション層・プレゼンテーション層が目に見える範囲となるため、注目されがちですが良いシステムはそれよりも下のレイヤーについてしっかりと設計されている必要がありますので、システム提案をするときには、全てのレイヤーについて考慮されているかを確認するクセをつけるべきです。

業務理解の幅を増やす

技術的に抑える観点をOSI参照モデルで確認したところで、次に業務レイヤーについて考えてみます。
業務は顧客企業の業態や業務の内容によって様々な形態・手続きがあります。
この様々な形態をモデル化したいくつかのIT三文字熟語が存在しています。
ERP(Enterprise Resources Planning)、SCM(Supply Chain Management)、CRM(Custmer Relationship Management)などなどです。
これらはマネジメント用語でもあるのですが、このマネジメント手法を実現するためのシステムを開発している企業からソフトウェアパッケージとして提供されているため、IT三文字熟語にもなっているのです。
業務理解の幅を増やすには各IT三文字熟語をSI営業としては理解しておくことが重要です。

 

一方で、この三文字熟語に当てはまらない業務も数多くあります。
この数多くある業務を理解するには、まず顧客企業や自社が企業活動をする上でどのような業務を行っているかを理解すると良いでしょう。
小難しいIT三文字熟語を理解するのも良いですが、例えば自社の経理部や人事部が何をやっているかなど、身近なところから勉強してみると良いでしょう。
今やシステムを使っていない業務は大変少なくなってきているため、各部署がどのようなシステムをどのように使っているかをみることで業務理解が深まります。
また、この時にはOSI参照モデルを頭にいれて、当該システムの各階層がどのように動いているかを調べるとさらに理解が深まります。


業務は経験してみないとなかなか身に付きませんが、一般的な業務モデルを説明している書籍もあるため、業務に強いSI営業を目指すのであれば、そのような本を何冊か読むのも良い勉強になります。
というかSI営業はシステムだけでなく業務を理解する能力にも長けていないと勤まりませんので、しっかり勉強しましょう。

まとめ

顧客がSI企業の営業に求めていることは、まずシステムの営業としてシステムに詳しいことです。
次に、顧客企業の業務について理解があることです。顧客の業務を理解していることで、顧客はシステム営業に一から業務についての説明をせずとも業務課題についての勘所をおさえてくれていることを求めています。

 

ただし、業務については顧客側の方が詳しいのは当たり前のことです。システム営業は、謙虚な姿勢で顧客に適切な質問ができるということも重要です。
この際に同じ質問を何度もしないように一度聞いた内容はしっかりとメモに取り、すぐに知識として利用できるようにしておきましょう。

 

SIerの能力は技術力だけではなく、顧客の業務についての理解度が高いほどに高められます。
まずは技術的な抑えのフレームワークであるOSI参照モデルにシステム要素をあてはめられるようになること。
その上で、顧客の業務理解を深めるための勉強をすること。
この2点を自己学習および実業務にて深めていくことで、SI営業としての自分のスキルと経験が磨かれていきます。
これらはすぐに身に付くようなものではないため、まず自分の得意分野を作り、そこから展開していくと良いでしょう。

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