Workers Wind

主に私の仕事に関する考え方と自分の知識・スキルを習得するために読んだ本、調べたこと、実施した結果などについて記載しているブログです。

SI営業への道 Part VI 提案書の型をつくれ

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連載企画「SI営業への道」も第6回となりました。

まだちょっと早いかなとも思っていたのですが、今回は営業の醍醐味でもある提案活動における提案書の書き方について紹介しておきます。

SI企業では、営業担当者が自ら提案書を書く場合もあれば、SEや提案書を書く専門家が提案書を書く場合もあります。

自分で提案書を書くことがない営業であっても、提案書に盛り込む内容について理解しておくことは必要なので、今回ご紹介します。

 

提案書の型をつくれ

まず前段としては提案書に限った話ではないのですが、業務においてよくやるタスクについては自分なりの型を作っておいた方が考える時間を短縮できるので、提案書作成においても型をつくりましょう。

提案書作成においても提案書の雛形を自分なりに持っておくことで、提案書を書く際に必要な要素を一から考える必要がなくなるため、オススメです。

また、必ず型通りに書く必要もなく状況に応じていくつかの型を作成しておくことや全ての要素を含んだ型を用意しておき、必要なパーツ抜き出して形にするなど、自分にあった方法を身につけると良いでしょう。

 

提案書目次案

それでは、私が記載する提案書の目次案をご紹介します。

私が顧客へSI提案をする場合には以下のような目次項目を基にして、顧客への提案内容により項目の取捨選択をしています。

  1. 提案概要
  2. 現状認識
  3. 課題解決案(導入システムイメージ)
  4. 提案内容詳細
  5. 業務的な課題解決案
  6. 技術的な課題解決案
  7. プロジェクト体制案
  8. スケジュール案
  9. プロジェクトの進め方
  10. 前提事項
  11. 見積費用
  12. 参考情報(企業概要、事例紹介)

提案概要から課題解決案

1から3の目次項目で、顧客に提案概要の大枠を説明します。特に「提案概要」では、プロジェクト検討背景、顧客が抱える課題、課題解決案を記載して、1枚で提案概要を伝えるようにしています。

その上で、提案概要を補足する顧客が抱える課題の詳細、及び課題を解決するシステムの導入イメージを課題解決案として示します。

1から3は導入部であり、結論です。

ここで、費用もみせてしまっても良いのですが、費用しか気にしない顧客が多いので、費用は最後にみせるというのが私のやり方です。

導入部で結論を示しているのは、顧客はITに興味がないことが多いため、顧客企業が抱える課題をどのように提案側として認識しており、その課題をどのように解決するかを簡潔に伝えることで、それ以降の詳細な内容に興味を持ってもらえるように促します。

そして、顧客企業の経営者は忙しいため、SI提案書の全てを読んでもらうのは難しいと考えておきます。つまり1から3は顧客の経営者に説明するためのサマリ資料としてはじめから用意しておくと考えておきましょう。

 

提案内容詳細と課題解決案

提案内容の詳細はSIの提案書であるため、システム導入の説明とはなります。

システムを導入することで、どのような効果を産むのか、どのようなシステムをどのように導入するのかをここでは記載します。

提案内容を説明する上で、いきなり技術的な観点の説明をしたい気持ちを抑えて、まずは業務について説明することを優先します。

というのも、多くの顧客はITには興味がなく、自分たちの業務がどのように改善されるのかを知りたがっているものだからです。

この欲求を満足させるために、システム導入することで現状の業務課題がどのように改善されて業務がどのように変わるのかをまず説明します。

その上で、技術的にはどのように課題を解決するのかを説明するのです。

 

プロジェクト体制案から前提事項

提案内容詳細という観点では、プロジェクト体制案、スケジュール案、プロジェクトの進め方、前提事項も含まれますが、提案内容詳細とは少し毛色が違うので説明する章を分けております。

SIの提案では、プロジェクト体制が重要な位置付けとなります。

業務的な課題を解決するために、業務に詳しいメンバーや導入するシステムの技術に詳しいメンバーなどスキル保有要員がどのような立場でプロジェクトに参画する予定なのかを示すことが重要です。

業務的な課題解決案や技術的な課題解決案を示したところで、これらの担い手が実はいませんという提案では顧客に不安感しか与えません。提案側が提案書通りにプロジェクトを遂行できるかどうかはプロジェクト体制や実際のプロジェクトの進め方に関わってくるのです。

また、スケジュール案では顧客の希望にあったスケジュールになっているか、無理なスケジュールになっていないかなどを記載します。

そして、これまでの提案内容を踏まえてプロジェクトを成功させる上で提案における前提事項をまとめて示しておきます。

前提事項は、提案側のリスク回避としてもしっかりと記述しておきたいところです。

 

見積費用と参考情報

ここまでの内容で、顧客は提案側の提案内容の実現性を判断することになりますが、費用としてどの程度かかるのか次第では提案が採用されない可能性もあります。

したがって、営業としては事前に顧客の予算を把握して、その予算でできる最も効果的な提案をするべきです。

顧客が求める全てを実現する提案ができるのは理想ですが、そういったものは時間も費用もかかるため、現実的ではありません。

顧客の要望を適切に把握した上で、予算に合わせて優先度の高い解決案を見積もって提案することが重要です。

実は提案書は顧客内の手続きを通すための儀式的な資料と提案側のリスク回避のための資料という位置付けの方が強いです。提案する前の活動で当該提案が顧客に採用されるかは決まります。

そして、最後の補足として提案内容について類似実現の事例やプロジェクト体制案に組み込まれた要員の主な経歴などを紹介し、顧客に提案側の業務完遂力をアピールします。

 

まとめ

提案書に記載すべき項目について説明しましたが、既に記載したように全ての提案において同じ項目で提案するわけではありません。

業務よりの提案なのか技術よりの提案なのかにより、説明の順番を入れ替えたり、項目を削ったり、別に項目を増やしたりも必要となります。

 

今回説明した項目は、一つの案としておりますが、大まかな項目はSI提案であれば、ほとんど変わりません。全ての内容を記載することが重要なのではなく、顧客の要望を実現するための提案をするために、顧客が知りたい情報を網羅していることが重要です。

その上で、顧客の立場に立って顧客が理解しやすい順序で説明ができるようにシミュレーションしておくと良いでしょう。

そうすることで、SI営業として顧客に喜ばれる提案ができるようになっていくと確信しています。

 

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