個人でAIを活用してみたいと考えている方には、本書を読むと現状でどれぐらいAIが役に立つかの指針にできると思います。
著者の情報(電子データ、書類等含む)整理の方法にAIが組み込まれるとどうなるのかという観点で実践的な手順が記載されております。
他にも、本書は紙媒体とWeb媒体を連動させる取り組み(QRコードからのWeb動画サービスへの連携)なども取り入れており非常に野心的な内容になっていると思います。
とはいえ、私としてはもう少しAIについて技術的に踏み込んだ内容が知りたかったのですが、そういった用途にはまったくと言ってよいほど使えない本ではありました。
ぶっちゃけて言えば、AIと書いてありますがAIについては何もわかりません。
そもそもAIという言葉は、様々な情報技術を組み合わせて質問に対する答えを出すようなシステムだと私は理解しております。
その様々な情報技術には音声認識であったり、自然言語処理だったり、画像認識だったり、さらにこれらの技術にもベースになる技術があったりと大変奥深いものだったりします。
とはいえユーザ目線で考える際には、そのような技術の話はどうでも良いのです。
その意味で本書はこんな便利なツールや考え方があって、これらをどのように使うと情報整理やアウトプットの役に立つということがわかる本になっています。
実際に、ユーザはどのような技術なのかということには興味はなく、それがどのように使えるのか、自分にとってどのようなメリットがあるのかということに興味があるものだと考えております。
私のようにITを売ることを生業にしているとどのような技術なのかを一生懸命にお客様に説明しがちですが、重要なのはお客様にその技術(IT)がどのように役に立つかをご理解いただくことです。
これができるようになる前段階として、技術を正しく理解する。
次にこの技術がどのような用途にどれぐらい使えるのかを理解する。
そこから対象となるお客様にも役に立つのか、その程度がどれぐらいなのかをお客様環境も理解した上で説明し、私の説明が良ければお客様は購入してくださるということです。
そういう意味で本書はユーザ向けにちょっとAI技術で何ができるのかを体験できる良書だと思います。