Workers Wind

主に私の仕事に関する考え方と自分の知識・スキルを習得するために読んだ本、調べたこと、実施した結果などについて記載しているブログです。

IT技術者の低賃金問題

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先日、某社のシステムに関するプログラムのソースコードがGitHubで公開されて、年収診断サービスに使われたというニュースがありました。

www.itmedia.co.jp

 このニュースについては、私も自分が働いている業界ニュースのため、明日は私の周辺でも同じようなことが起きるかもしれないと感心を持っております。

 

さて、では本事件を受けての私の課題認識について今回は記事にいたします。

 

 

本事件の課題事項

本事件にて考えさせられる課題事項は以下の3点です。

  1. 社会人としての知識不足
  2. モラルの欠如
  3. IT技術者の低賃金問題

色々とネットで話題になっておりますが、主にこの3点に課題は集約するかと考えております。

補足としては、GitHubサービス自体に罪はなく、使い方・使う人が悪かったねということです。

 

社会人としての知識不足

では、まず社会人としての知識不足という観点についてですが、そもそもお客さんの依頼に基づいて開発しているプログラムの著作権は明確な取り決めがされていなければ、お客さんに帰属します。

自分で書いたプログラムであっても、勝手に公開していいわけがありません。

さらにプログラムソースは実は民法上明確な定めはありませんが、商慣習上は秘密情報にあたります。そもそもプログラムソースコードは著作権法で保護されていますので、第三者に勝手に公開していいものではありません。

問題のソースコードで年収診断をするサービスも利用規約には著作権を考慮してつかうように明示しています。つまり業務で書いたソースコードを公開してはダメということですね。

 

これはモラルの話になりますが、このような利用規約をユーザはほとんど読みません。

しかし、仕事で書いたソースコードを自分に著作権があると考えてしまっていたとしたら、社会人としては知識不足としか言えません。

 

開発者は技術には精通している方が多いですが、こういった社会人としての知識が足りていないと思える方にしばしば合います。

知識が足りないからといって、業務に支障が出ることはあまりないため、そういった教育を企業はないがしろにしているのかもしれません。

今回の事件では、この社会人としての基礎教養とは何かということを再確認させられることになりました。

 

モラルの欠如

次にモラルの欠如ですが、このソースコードをGitHubに公開してしまった方にモラルがないという話ではありません。

この事件の原因を明確に特定しようとしない業界全体の構造にモラルが足りていないと考えています。

私も記載しましたが、GitHubサービス自体を悪者にしないでほしいとかいうことは本件の原因とは直接関与しません。

また、たまたまこのソースコードを公開してしまった個人がやり玉に挙がっておりますが、他にも事例が出てきております。

中には、悪いことだと思っても手を出してしまったという事例もあるでしょう。

似たような事件では、元ソフトバンク社員が楽天モバイルに転職する際に、ソフトバンクの基地局情報を持ち出したというものもあります。

完全に不正競争防止法違反です。

business.nikkei.com

 

モラルというのは明確に定められるようなものではありません。

なので、これは知識や経験に裏打ちされるものであると考えています。

 

自分がとった行動がどのような影響を及ぼすのかを少し想像することを覚えてほしいところです。

 

IT技術者の低賃金問題

最後に、IT技術者の低賃金問題です。

そもそも本件は現在年収300万円の技術者が転職する際の自分の相場を測るために起こっていますので、現状の年収に満足していないのだと考えられます。

そして、このことについて業界では駆け出しの技術者であれば年収300万円は普通という意見と安いという意見があります。

 

私は安いという意見に賛同します。

日本のデジタル活用が世界的に進んでいないのは、技術者の活用が上手くないから、日本の多くの経営者が上手く技術者の価値を引き出せていないからと考えております。

技術者の自由競争を図る上で、人材流動化が進めば良いとも考えておりますが、その流動化を進ませるためにも技術者の平均年収は高いべきであると考えております。

 

ただ、転職するための自分の実力を試すためにお客さんのソースコードを外部に提供するというのはお客さんの許可を得ていなければやってはいけません。

 

だいたい技術領域によっては技術者の数が足りていないこともあるわけで、そこを同じ会社にいるからといって同一の単価でみるというお客さんがいるというのも、ナンセンスな話です。

需要のある技術であるならば、その供給側の単価は市場価値に照らし合わせて考慮すべきです。

 

これは業界全体としてお客さんから仕事をもらうために技術者を安価に提供してしまっているという悪習が問題なのです。

 

こういった過去の悪習を断ち切り、技術者が正当に対価で評価される仕組みづくりに取り組んでいきたいです。

 

セキュリティ意識は常に高く

まとめとして、デジタル化が進んでいくことで情報の伝達速度は格段に高まっています。

モラルの欠如と書きましたが、完全にモラルの問題を払拭することはできないでしょう。

そうであれば、ゼロトラストの考え方に基づき適切なセキュリティ対策を取ることがシステム会社には今後ますます求められるということです。

従業員一人の問題ではなく、会社や業界を上げて安心、安全な仕組み作りを心掛けていきたいですね。

 

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