Workers Wind

主に私の仕事に関する考え方と自分の知識・スキルを習得するために読んだ本、調べたこと、実施した結果などについて記載しているブログです。

SI営業への道PartV IT導入は手段であって目的ではないことを心得よ

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何度かこのブログでも話題にしていたかと思いますが、IT導入は企業活動を効率的に行うための手段であって目的ではありません。

ITパッケージ提供会社の営業担当者と話をすると自社のパッケージを購入してほしいという思いが全面的に出るためにITパッケージ導入を目的化して話を進めてきます。

この際に当該ITパッケージを導入した上で、本当の意味での達成すべき目的がない場合には、当該ITパッケージの導入は失敗に終わるでしょう。

短期的には当該ITパッケージを顧客に販売したことで、販売した営業は社内では評価されるでしょうが、目的を達成できなかった顧客からは当該営業も当該ITパッケージ提供会社も評価されることはありません。

顧客の潜在的な目的を引き出して、IT導入を提案することが社内にも顧客にも評価される唯一の道なのです。

 

 

データ分析を目的としている顧客はいない

冒頭のエピソードは、データ分析パッケージを提供している会社の営業の話を例にしました。

自社の提供するパッケージの新しいバージョンがリリースされているため、現行システムも使いこなせていない顧客に対して、新パッケージの販売を勧めてきます。

現行システムを使いこなせていない理由が、新パッケージで解消されるのであれば、ダメな提案ではないのないのですが、そういうわけではありません。

 

顧客の状況は、

  • そもそもデータ分析の結果が出ていない
  • データ分析することで何をしたいのかが明確になっていない

 

という状態であるため、データ分析システム事態に懐疑心を抱きつつある状況なのです。このような状態で新パッケージを無邪気に提案したところで顧客に響くわけがありません。

 

このような状態においては、ITシステムの提案ではなくデータ分析の目的を再認識してもらうことからはじめなければいけません。

曲がりなりにもデータ分析システムを使っていたのであれば、少なからず結果が出ているはずなので、データ分析システム導入前と後の状況比較を整理して提示することが重要になってきます。

 

そして、データ分析の有用性を顧客に再認識してもらったところで新バージョンではさらに高度な分析ができるようになるとか、当該顧客向けには現バージョンではできない分析機能を新バージョンで分析することによって新しい価値を提供できるということを提案するのです。

 

データ分析は、データに基づいた戦略を検討する上での手段でしかありません。

データの取り扱いに優れた担当者や経営者がいなければ成立しない手段なのです。

 

データに基づいた検討ができる担当者や経営者がいればデータ分析ツールは強力な経営支援ツールとなるため、しばしばデータ分析ツールを導入すれば自社の課題が解決できると勘違いしてしまいますが、そんなことは全くありませんので注意が必要です。 

まずは課題を認識すべき

SI営業は自社や他社のパッケージ製品を販売するときに事例ベースで課題解決の話を顧客に説明することがあります。

この説明において重要なのは当該事例が説明先の顧客にも適用できるかを把握していることにあります。

まったく顧客がおかれている状況とは違う事例を紹介したところで、顧客は貴重な時間を使ってこの営業は何をしにきたのかと思うだけです。

 

つまり営業は、常に顧客の抱える課題は何かを把握するように努めておくべきなのです。

課題は顧客から直接話を聞くこともあれば、業界特有の課題などもあります。

今見えていない課題もあるため、顧客の立場になって考えるくせをつけると良いでしょう。

 

まとめ

データ分析パッケージを例に手段と目的を混同しないようにする説明をしました。

データ分析パッケージは使いこなせれば強力な経営支援ツールとなりえます。

一方で、データ分析パッケージを使いこなすのはなかなか難しいということを認識した方が良いでしょう。

データサイエンティストを雇用すべきという話ではなく、自社の業務と自社を取り巻くデータに精通している人材がいれば、あとはデータ分析パッケージの使い方を覚えれば良いのです。

データ分析パッケージを使う人材は別に採用しても良いでしょう。

 

SI営業は、自社の販売目標を達成するために手段の押し売りにならないようすることに気をつけましょう。

システム導入提案は長期にわたることが多いため、顧客とは長期でつきあうことを念頭においた真摯な提案をすべきです。

真摯な提案をするには、顧客の課題を把握するように努めて最適なITシステムの提案をすれば良いのです。

常に課題・目的から考えるくせをつけて、手段が目的化しないように気をつけましょう。

 

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