入社した当初、私は新卒採用の手伝いをやっていた時期がありました。
この際に、就活生からよく聞かれた質問は「残業はありますか」「文系でもやっていけますか」だった。
私自身、高校は理系で、大学は会計学部ではありましたが、仕事をしていて高度な理系の知識が求められると感じることはないため、SI業界に入るのに文系でもまったく問題ないと言えます。
では、どんな人がSI業界に向いているのかを書いていきます。
SI業界に向いている人の素養
私がSI業界に向いていると考えている人の素養には以下の3つがあります。
- システム(IT)に興味がある
- 一つのことに没頭できる
- コミュニケーション能力がある
システムに興味がある
システム(IT)に興味があるという点については、理系出身者の方が学生時代にITに触れている可能性が高いので、文系出身者よりも若干有利な点はあるかもしれません。
一方で、それは学び舎での学問の違いによる優位性でしかないので、文系でもシステムに興味があれば自分でシステム(IT)に触れているでしょうから、そういったパーソナリティの面においては大差はありません。
なぜ、自分はシステムに興味があるのかを考えると良いでしょう。
ちなみに私は機械が好きで、仕組みを考えるのが好きなので当業界に就職しました。
一つのことに没頭できる
次に一つのことに没頭できるということですが、これもパーソナリティに関することで理系・文系は関係ないと考えています。
理系出身者の方が実験などを繰り返していく過程で一つのことに没頭するということはあるかもしれません。
しかし、文系についても自分の研究テーマを突き詰めることがあるでしょうから、やはり理系・文系で変わるような素養ではないですね。
では、なぜ私がSI業界に向く素養として一つのことに没頭できるをあげたかを説明します。
それはSI業界のロールが専門職化されていることが多いことと関係します。また、
トラブル時などの問題解決における集中力にも関係します。
まず専門職化されているロールについてですが、多くの場合は技術者は得意な技術分野を持つことになります。サーバ技術、データベース、Webアプリケーションなどなど、技術要素がかぶっていることもあれば粒度がバラバラだったりもするので、実際には一つのことでは足りないのですが、一つ一つの技術をモノにしていくことが求められるのです。そのための一つのスキルをモノにするための集中力が必要なのです。
一つのスキルをモノにした後に関連するスキルを身につけるというようなプロセスで技術者は成長していきます。
また、システムトラブルが発生した際にはトラブル解決に向けて集中した対応が求められます。
システムトラブルはSI業界にはつきものであり、技術者が成長できるイベントでもあります。このシステムトラブルは顧客の業務に影響を及ぼしていることもあり、早期復旧が求められるケースがほとんどです。
そのため、復旧に向けて相当の集中力をつぎ込むことになります。
問題解決のプロセスに没頭できる素養がないと精神的に持たなくなっていくのです。
一方で、システムトラブルを解決すると多くのケースで技術者は成長できるので、システムトラブルを楽しめるようになると本物のエンジニアになれます。
コミュニケーション能力がある
最後にコミュニケーション能力があることが重要です。SI業界はシステム機器を扱うためコミュニケーション能力はそれほど必要ないと思われているのか人とのコミュニケーションが苦手な人が多い印象があります。
しかし、コミュニケーション能力がないと顧客の要件を正しく理解できません。
また、システム開発は1人ではできないことがほとんどですので、チームでシステム開発をします。この際にもコミュニケーション能力がないとチームとして上手く機能できません。
よく就職面接のときに就活生がコミュニケーション能力がありますという話をしてくれるのですが、同年代とだけでのコミュニケーション能力では社会に出た時に足りないケースがほとんどです。
コミュニケーションの本質を理解していれば、学生時代のコミュニケーションの延長でも上手く立ち回れますが、様々な世代や立場の人たちとコミュニケーションをとっていくうちに得意だと言っていたコミュニケーション能力を発揮できない新入社員を何人もみてきました。
コミュニケーションは、相手の立場になって考えることが基本です。
自分の主張だけしても上手くいかないのですが、学生時代に自分の意見を押し通してきてコミュニケーション能力があると勘違いしてしまっている人は様々な世代・立場の人と上手くコミュニケーションが取れないのです。
自分がそうなっていないかを振り返ってみると良いでしょう。
まとめ
SI業界に向いている3つの素養について説明したことで、理系・文系は関係ないとご理解いただけましたでしょうか。
私はむしろ研究職でないのであれば、理系出身者よりも文系出身者の方がSI業界には向いているのではないかとも思っています。
SI業界では業務において多くのドキュメント作成をします。
ドキュメント作成においてはまっとうな日本語力が求められますが、文章を正しく書くというのは本当に難しいことだと日々痛感しています。
また、顧客やチームとのコミュニケーションも大変重要です。
コミュニケーションを取るにしても文系出身者の豊な日本語力があれば円滑なコミュニケーションが取れるのではないでしょうか。
以上のように長くSI業界で勤めるのであれば学生時代の学部の違いは些細なものでしかないのです。理系であろうが文系であろうが臆することはありません。
まずは業務をこなすために何ができるようになれば良いかを考えて、そのスキルを向上させていけばよいのです。
SI業界は、企業活動を支える基幹産業です。ぜひ多くの方が参入して良いシステム開発をしてほしいと願っております。