ITシステムの導入時においてIT会社とコンサルティング会社(以下、コンサル会社)はしばしば競合関係になります。
ITシステムの導入を成功させるために、コンサル会社のノウハウが必要ということでユーザー企業がコンサル会社に声をかけるのです。
コンサル会社にも色々ありますが、彼らの最大の武器は前述したようにノウハウです。
グローバルに業務を展開するコンサル会社は世界規模でのノウハウを持っています。
では、ノウハウとは何でしょうか。
コンサル会社の持っているノウハウとはコンサル会社の実績に基づく事例(全てが実勢に基づいているかは会社によるでしょうが・・・)です。
彼らが企業や個人単位で引き受けてきた仕事の事例を洗練させてユーザー企業に提供するのが彼らの仕事です。
では、その事例は果たして個別のユーザー企業のニーズにマッチするのでしょうか。
それがこの記事のテーマです。
コンサルタントの事例ベースの仕事は個別のユーザー企業に対して過去の事例と同様の成果を再現することができるのか。
答えはケースバイケースです。
というか、まったく同じ成果を再現することは不可能だと私は考えています。何故なら事例と同様のケースが個別のユーザー企業に対して当てはまるようなものはないからです。
事例は多くのユーザー企業にも当てはまるように汎用化されて説明されていますので、自社のニーズにも当てはまるように思えますが、実態面ではそんなことはありません。
ただ、それでもコンサル会社の仕事で成果が出ないということではありません。
コンサル会社が持っている様々な事例やコンサルタントの知識・スキルによりユーザー企業のニーズに最大限に応えようとします。
そして、コンサル会社の勤勉なところは彼らの仕事の成果がユーザー企業にとって成功だろうが失敗だろうが、コンサル会社にとってはどちらも事例になるということです。
ユーザー企業の失敗事例の方がコンサル会社にとっては学べる点が多く発生するため、コンサル会社の仕事が失敗したユーザー企業には申し訳ありませんがコンサル会社にとっては失敗事例は彼らの価値を高めることに貢献していると言えるでしょう。
事例を積み重ねていくとコンサル会社の仕事に再現性のようなものが出てくるようにも感じますが、基本的にコンサル業務は人の能力に依存します。従って100%の再現性を保つというのは無理だと私は考えています。
人の能力はコンディションの影響を受けやすいからです。
ただ、コンサル会社は業務の成果を事例として会社に溜め込んで、その膨大な事例の知識を使いこなす能力のあるコンサルタントは仕事の再現性を人として高い位置に持っていけると私は考えています。
コンサルタントは業務でITを駆使することもありますし、ITの利用分野が広がれば彼らの業務の再現性はさらに高くなっていくのだと思います。
私の現時点での結論はコンサルタントの仕事には再現性はなく常にユーザー企業のニーズを捉えてユーザー企業の課題を解決するために最大限の知識とスキルを活用しているだけと考えています。ケースバイケースによる対応能力・知識の引き出しの多さがコンサルタントの能力であり、それは仕事の再現性とは別のものと考えています。
つまり現状ではコンサルタントよりもITシステムの方が業務の制限性は高いと考えており、そんなITシステムを導入するIT会社の業務は魅力的だと考えます。