私はIT企業の営業職としてお客さん向けの提案資料をPowerPointを使ってしばしば作成します。
Excelで提案資料を作成することもあります。
そんな時に、もっとキレイな資料を作るにはどうすればいいのかを考えるわけですが、まず第一にわかりやすい資料を資料を作るということが考えられます。
わかりやすい資料って何だろうというと、見やすい資料ってことが大事なのですが、その見やすさを担保するには資料のデザインが重要ってことで、「見るだけでデザインセンスが身につく本」を読んでみました。
まず、結論から言うと本書を見るだけでは当然デザインセンスは身につきません。
いや、もしかしたら本書を見るだけで本書に書いてある内容が頭に入って即実践できるという人もいるかもしれませんが、私にはできません。
本書はデザインに必要な要素の基礎知識を提供してくれる構成となっています。
基礎知識とは、レイアウト、配色、フォント、文字組み、写真、イラスト、グラフ、図解といったデザインの構成要素についてどのように考えると見やすくて、伝わりやすいデザインになるのかを教えてくれます。
デザインはアートとは対極にあり、何かの課題を解決するためにデザインがあり、伝わらないデザインには意味がないということなのです。
よく考えられたデザインは、デザインの結果の再現性も高いというのが本書の主張です。
デザイン力が身につけば、常に一定の効果を出すことができるということです。それってビジネスパーソンにとってもかなり有益なスキルですよね。
最近は、書店にいくと結構デザインに関する本が並んでいたのでデザインについて気になっていたのですが、多くの人が何かの課題を解決するためにデザインの力を必要としているということなのです。
さて、本書では当たるデザインの方法も記載してくれています。
それは以下の3点をはずさないこと。
- 誰に伝えるか
- どんな結果がほしいか
- それに合わせた強みを表現
つまりクライアントのニーズ(課題)をはずさないということが大事ということですね。
プロダクトベース(プロダクトアウト)でデザインを考えるのではなく、顧客のことを考えた(マーケットイン)デザインにすると求める成果が得られるというのです。
これは、営業においても基本だと考えています。
IT企業では自社の製品・サービスありきでの営業工作をすることがありますが、あくまでも顧客での課題に対して、自社の製品・サービスがどのように顧客の課題解決に貢献するかを説明する必要があります。
時々、提案資料なのにほぼ自社の製品・サービスの機能説明しかされていない製品・サービスのカタログのような提案資料を見ますが、それではどんなキレイで見やすい提案資料でも、顧客には伝わりません。
なぜって、顧客の課題を外してしまっているからです。
本書を読んでいきなりデザインセンスが身につくということはありません。しかし、本書を読んでデザインを構成する要素にどのようなモノがあり、その構成要素の役割、選択基準の基本的な考え方は学べます。
あとは、何のためのデザインなのかというニーズを捉えてデザイン要素の考え方を当てはめていけば良いデザインになるということです。
言葉にすると簡単そうですが、実際に実行するには色々な人の目を通してみることも重要です。
本書にも書かれていますが、普段から目にするもののデザイン的意味を考えるようになると、良いデザイン・悪いデザインの審美眼が磨かれると思います。
まず基本を知るという意味で、本書は短時間で読むことができる文章量で構成されているので良書です。