業務をやっていて何か失敗をした時に原因を特定して、再発防止策を考えると何故かよくあるのが、精神論で再発防止するというのと、チェックリストや手順書を作成して再発防止するという案が出る。
しかし、大概この精神論もチェックリスト等の対策も、やりはじめこそは機能するが、時間が立つと形骸化して、また同じ失敗を繰り返すことになる。
また失敗する頃には前の失敗について忘れている(当事者が異動で変わっている)場合もあるため、結局業務の改善は図れないということが繰り返される。
この件について、私の中では答えが出ている。
精神論は喉元過ぎれば忘れる。
チェックリストや手順書は喉元過ぎれば(業務に慣れれば油断して)見なくなる。
本当に失敗が許されない業務であれば、必ず手順書通りにやるかと言えば、そこまでの緊張感を持って業務を遂行できる人間など限られる。
つまりこういった方法は業務改善においては上手くいかないのだ。
従って、私が何かに失敗したときや部下が何かに失敗したときは、原因を特定した上でその原因自体を取り除く方法はないかを考える。
究極的にはその失敗した業務自体をなくすか自分の担当から外すことはできないか、はたまたもっと簡単(手順を少なくすることはできないか、考えずにできるようにならないか)という観点で物事を考えることにしている。
業務に限った話ではないのだが、何かをするときにはなるべく楽をしたいと考えるのが人間というものだ。
従って、業務をやるのにいちいち手順書を引っ張り出してきて、それを読みながらやるというのは、この考えとは逆行するため絶対に上手くいかなくなる時がくる。
チェックリストも同じだ。
手順書やチェックリストは自然と利用できる環境にならなければ必ず失敗するときが訪れる。
以上の考えを記載したところで勘違いしないでほしいのだが、私は手順書やチェックリストを作成すること自体を否定しているわけではない。
これらのドキュメントは業務を覚える上で必要だ。
要は、そのドキュメントにかかれる内容についてが重要なのだ。
よくわからない確認項目や職人芸のような手順を経ずに誰がみても簡潔な手順書やチェックリストが作れないのであれば、業務分析が足りていないと考えた方が良いだろう。
以前に読んだ本で「仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?」でもチェックリストの作成の仕方は説明されていた。
チェックリストは誰がみても考える余地がない物を作成すべきということで、そうすることで業務の改善ポイントも見えてくる。
業務改善をする際には、今よりも手順を減らすことを考えなければ新しい業務を定着させることは難しいと考えた方が良い。
人間は元来横着な生き物なのだ。難しい手順を習熟するには時間がかかる。
一定の行動は考えずに行えるようにしたい。しかもそうすることで今の世の中ならロボット化することもできる。
業務改善、効率化というからには、今よりも手順を少なくすることを最優先に考えないと結局上手くいかないということを仕事をする上では前提事項として覚えておいていただきたい。